環境基本計画2022知事挨拶

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未来を拓くグリーンでレジリエントな世界都市・東京へ

気候危機の一層の深刻化、生物多様性の損失、水・大気環境の変化など、環境を取り巻く状況は世界規模で大きな課題となっており、もはや一刻の猶予もありません。毎年のように記録的な自然災害が発生するなど、気候変動の影響は人々の身近な生活領域にまで及んでいます。加えて、2022年2月以降のウクライナ・ロシア情勢による原油や天然ガス等の供給不安は、化石燃料の多くを輸入に頼る我が国の足元を揺るがす脅威となっています。


気候危機とエネルギー危機という2つの危機に直面する今、世界は脱炭素化とエネルギー自給率の向上に向け構造転換を進めています。東京都も、エネルギーをⒽ減らす Ⓣ創る Ⓣ蓄める、「HTT」の観点から政策を磨き上げ、脱炭素化とエネルギーの安全保障の一体的実現を図っていくことが必要です。エネルギー利用の効率化や再エネの利用を当たり前のことにしていくのは、将来世代のために我々に課された使命であります。


東京が、コロナ禍からの「サステナブル・リカバリー(持続可能な回復)」を進め、50年、100年先も魅力ある、豊かな都市として発展していくためには、国や世界を先導する取組で、多様化・深刻化する環境課題の解決に先鞭をつけていかなければなりません。


東京都は、高度経済成長の時代から、大気や水の汚染、廃棄物などの環境問題に取り組んできました。国に先駆けて実施したディーゼル車規制などにより、東京の大気環境は劇的に改善しています。気候変動対策として2010年に導入した世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度は、事業者の皆様の協力も得て、大きな成果を挙げてきました。さらに、2050年までに世界のCO2排出量の実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を掲げ、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減するカーボンハーフを目指した取組を加速しています。


今回改定した「東京都環境基本計画」では、2050年のあるべき姿の実現に向けて、2030年までの行動が極めて重要との認識の下、具体的な目標と施策のあり方を示しています。


「エネルギーの脱炭素化と持続可能な資源利用」、「自然と共生する豊かな社会の実現」、「良質な都市環境の実現」から成る3つの戦略に加え、直面するエネルギー危機に迅速・的確に対応する取組を戦略0とする「3+1の戦略」により、各分野の環境問題を包括的に解決していきます。


“TIME TO ACT”-今こそ、行動を加速する時です。本計画に基づき、都民や事業者など様々な主体と力を合わせながら、「成長」と「成熟」が両立した、持続可能で、安全・安心、快適な、未来を拓くグリーンでレジリエントな世界都市・東京の実現を目指してまいります。

2022(令和4)年9月 東京都知事 小池百合子

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