小笠原諸島の植生回復事業

小笠原の島々の中には、過去に導入されたヤギが野生化して過度に繁殖し、小笠原の固有の植物などが食害を受けている島があります。植物が食い荒らされることにより、土地が裸地化し、土砂が流出して、鳥類の繁殖やサンゴなどの海洋生物に影響を与えているほか、景観も損なわれています。

ノヤギと裸地化

ノヤギ

媒島のノヤギと裸地化した土地(98年撮影)

捕獲されたノヤギ(98年撮影)


こうした被害を食い止めるため、都は、聟島(むこじま)、媒島(なこうどじま)、西島などでノヤギの駆除と植生の回復を図る事業を進めてきました。これらの島でのノヤギの駆除は、平成15年度で終了 し、平成16年度からは、新たに兄島で取り組んでいます。
植生の回復は、 被害の大きい媒島で取り組んでいます。

裸地

植生回復事業

 

媒島での植生回復事業(98年撮影)

また、南島では、観光客の過剰な利用により、植生が損なわれました。

南島は、小笠原諸島父島の南西約1kmに浮かぶ長さ約1.5km、幅約400mの小さな無人島 です。石灰質の土地が隆起・沈降してできた世界的にも珍しい沈水カルスト地形の美しい島で、特に外海とトンネル状につながる扇池(左写真)は、扇の形に開いたコバルトブルーの海と白い砂浜が人気の観光スポットです。
また、周辺海域は、クジラやイルカが回遊する場所でもあります。

扇池

ラピエ(石灰質の奇岩)

しかし、このような自然の美しさ・豊かさを求めて多くの観光客が訪れた結果、島の植物が踏みしだかれて赤土がむき出しになり、またラピエ(右写真)と呼ばれる石灰質の奇岩が削られ、さらに人に付着して運ばれた種により移入植物の分布が広がるなどの悪影響が出ていました。

東京都は、この希少な自然を保護し、失われた植生等を回復する事業に取り組んでいます。

  南島の植生回復の方法

小笠原の希少な自然を保護・回復するために下記のことを行っています。

1.南島の利用については「一日の入島者数の制限」「ガイド付の入島」「決められた自然観察路の利用」等の決められたルールの下で行っています。( 東京都版エコツーリズム )

2.すでに植生が破壊され裸地化している箇所については、失われた植生の回復を図っています。

3.人に付着して持ち込まれたと思われる移入植物の除去を行っています。

4.上記の利用方法や作業が適切かを検証するために継続してモニタリング調査を行っています。

  植生回復作業の具体的内容

1.   裸地及び踏圧を受けて植生が破壊されている箇所を対象に土壌浸食・流出防止対策や島内の芝生の移植等による植生の回復作業を行っています。

2.   自然観察路の裸地化した場所の一部にこれ以上の踏圧による植生の被害拡大を防ぎ植生の回復を図るため、試験的に島内の転石を飛び石状に設置しています。

3.   人力による移入植物の除去作業を行っています。

赤土が流出していた過去の状況

植生回復事業の実施状況

赤土が流出していた過去の状況

植生回復事業の実施状況

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