6 谷保の城山歴史環境保全地域

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指定データ

指定年月日 昭和50年12月26日指定
位置 国立市の南部の谷保地区で、青柳段丘のほぼ中心部に位置する区域
面積 15,217平方メートル

自然の概要

青柳段丘の南端にあり、青柳崖線の一角に歴史的遺産と一体となって、小規模ながらひときわ良好な自然地を形成している。区域内の植生は南側崖部分のシラカシ、ケヤキ林、南側土塁部分のイヌシデ林によって代表されるほか、北側平地部分にはクヌギ、コナラの雑木林が生育している。これらに囲まれた中央部は、ケヤキ-シラカシ屋敷林から常緑樹の多い自然林に移行しつつある。

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保全の方針

館跡の遺構と樹林を一体として現状のまま保全する。段丘上の屋敷林及び段丘下に続く常緑広葉樹林は自然の遷移に委ねて、この地域本来の植生に戻していく。一部の雑木林は明るい林として現状を維持する。

谷保の城山の歴史

城山(じょうやま)とは都史跡三田氏館跡の通称である。別に三田城、谷保城とも呼ばれているが、三田氏所蔵の古図によれば、万治版(万治11年、1659年)に「津田三郎為守城山」と、また天保版(天保11年、1840年)に「津田三郎為守ノ城跡故ニ名テ城山ト云ヒ来ル」と記されている。
津田三郎為守は菅原道真の子孫と伝えられ、石橋山合戦(1180年)以来、源頼朝に属して多くの武功をあげ、仁和4年(1243年)没した。
天保版は三田氏の祖先、三田林内の筆になるものであることから、城山は津田氏の館跡であり、鎌倉初期のものと考えられる。

指定時の植生

番号 植生名 現況
3 シラカシ群集
ケヤキ亜群集
下刈り等管理が行われていないため、林層は不明瞭である。
高木層は樹高17~20mで、ケヤキ、アラカシ、ミズキ、イヌシデ、ムクノキ、イロハモミジ、コブシからなり、亜高木層、低木層は、高木層と同じ樹種のほか、ヒサカキ、アズマネザサ等が見られる。
草本層はジャノヒゲ、キヅタ、アラカシ、シラカシ、ヤブコウジ、ミズヒキ、ホウチャクソウ等多様である。
6 ケヤキ-シラカシ
屋敷林
下刈り等の管理は行われていない。
高木層の樹高は17m程度。シラカシ、ミズキ、イヌシデ等が見られ、亜高木層はシラカシ、イロハモミジ、低木層はケヤキ、イロハモミジ、アラカシ、シラカシ、草本層はジャノヒゲ、キヅタ、ミズヒキ、ヤブコウジ、アラカシ、シラカシ等で多様である。
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a
コナラ-クヌギ群集 下刈り等の管理が行われケヤキ、ヒノキ、シラカシ、イロハモミジの混入した雑木林である。高木の高さは15m程度で林内は明るい。草本はアズマネザサが優占し、その他アケビ、ジャノヒゲも多い。
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イヌシデ群落 下刈り等の管理が行われている林分と、行われていない林分があり、管理が行われていない林分では、アズマネザサが繁茂している。
主な構成樹種は、イヌシデ、ケヤキ等で、草本層にはキヅタ、スイカズラ、ケヤキ、アケビ、トコロ、アオキ等が見られる。
28 モウソウチク林 モウソウチクの優占する竹林で、低木層はアオキ、シロダモ、ヒサカキが見られる。
草本層はシロダモ、キヅタ、ホウチャクソウが多く見られるが、被度は少ない。
34 マント群落 シラカシ、ケヤキ林の伐採跡で、クズによって覆われている。
67 緑の多い住宅地 シラカシ、ケヤキの含まれる多くの樹種が見られる。

その他

谷保の城山ふれあいボランティアが保全活動を行っている。
活動内容:草刈、柵の補修、枯損木伐採など

また、JR南武線矢川駅を起点とし、同線谷保駅を終点とする、矢川緑地保全地域と谷保の城山歴史環境保全地域を結ぶ「 雑木林のみち 矢川・青柳コース 」が整備されている。

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