父島
小笠原(おがさわら)の島々は大陸とつながったことがなく、200年ほど前まで無人島だった。だからアカガシラカラスバトなど、よそではみられない生き物が多いよ。これはとてもきちょうなことなんだ。めずらしい景色やイルカもみられるよ。
絶滅危惧種の凡例
- VU(国):絶滅危惧Ⅱ類(VU)(環境省)
- VU(都):絶滅危惧Ⅱ類(VU)(東京都)
- CR(国):絶滅危惧ⅠA類(CR)(環境省)
- CR(都):絶滅危惧ⅠA類(CR)(東京都)
- EN(国):絶滅危惧ⅠB類(EN)(環境省)
- EN(都):絶滅危惧ⅠB類(EN)(東京都)
オガサワラオオコウモリ
EN(国)・EN(都)
季節
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
場所
- 空
大きさは?
体長20~25㎝だよ。
特ちょうは?
全身が暗いこげ茶色で、光沢のあるグレーホワイトの毛が混じっているよ。
どこで見られる?
小笠原(おがさわら)の島全体で見られるよ。夜行性なので、日中は木になかま同士で団子のようにまとまりぶら下がって休息しているよ。
主な食べ物は?
植物の果実や花のみつ、葉を食べる草食動物などを食べるよ。
もうワンポイント
国の天然記念物であるオガサワラオオコウモリは、小笠原にいるただ1種のほにゅう類なんだ。植物の果実が食べられ種が糞と一緒に出たり、花粉が体につくことで、種をまいたり、受粉の手助けをする役目も果たしているよ。
画像提供元:小笠原自然情報センター
アカガシラカラスバト
CR(国)・CR(都)
季節
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
場所
- 空
大きさは?
およそ40㎝くらいだよ。
特ちょうは?
頭の部分に赤みがあるよ。
何のなかま?
ハトのなかまだよ。
どこで見られる?
小笠原(おがさわら)の島全体で見られるよ。保護(ほご)する取り組みにより、山に行かなくても町で見かけるようになったんだ。夜行性なので、日中は木になかま同士で団子のようにまとまりぶら下がって休息しているよ。
主な食べ物は?
木の実を主に食べるよ。
もうワンポイント
小笠原の陸で暮らしている鳥は15種ほどで、その多くが小笠原にしかいない固有の鳥なんだ。アカガシラカラスバト以外には、どんな鳥がいるかな?調べてみよう!
画像提供元:小笠原村観光局
ミナミハンドウイルカ
季節
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
場所
- 水中
大きさは?
およそ4mだよ。
特ちょうは?
ほぼ全身ねずみ色で、人なつこい性格だよ。
どこで見られる?
世界中の熱帯から温帯の海で見られ、人と一緒に泳いだりするよ。
主な食べ物は?
魚類、イカ、タコ、エビなども食べるよ。
もうワンポイント
世界の海には、85種のイルカ・クジラがいるといわれているけど、そのうち24種が小笠原にやってくるんだ。
画像提供元:小笠原村観光局
アサヒエビネ
VU(国)・VU(都)
季節
- 夏
場所
- 陸
大きさは?
およそ0.5~1.5mくらいだよ。
特ちょうは?
7月ごろに、くきの上部に10個から40個の黄色の花を穂(ほ)のような形につけ、花びらは後ろへそるようにさいているよ。
何のなかま?
ランのなかまだよ。
どこで見られる?
父島と兄島だけにしかいない小笠原の固有種だよ。アサヒエビネのアサヒは、父島の旭(あさひ)山にちなんでいると言われているんだ。
もうワンポイント
もともと自然にはえている数は、父島と兄島を合わせて数百株(かぶ)だけ、人間が植えたものは父島に数十株あるだけ、と数えるほど。絶滅(ぜつめつ)が心配されているよ。
乾性低木林(かんせいていぼくりん)
季節
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
場所
- 陸
父島の一部と母島のごく一部、そして兄島には、高さおよそ3~8mほどの低い木で成り立っている乾性低木林が広がっているんだ。この林の植物は、乾燥(かんそう)した気候にあわせて、葉の形を小さく厚く変えたり、海からの強い風をさけるため背を低くしたりするなどの進化をしているよ。たとえば、シマイスノキ、ヒメフトモモ、シマムロ、コバノアカテツ、ヒメツバキなどの木が乾性低木林にあたるよ。兄島では、高さおよそ1~3mと、さらに低く、葉はより小さく厚いものが多くなっているんだ。気候のきびしさが分かるね。
岩上荒原植生(がんじょうこうげんしょくせい)
季節
- 春
- 夏
- 秋
- 冬
場所
- 陸
兄島には、乾性低木林(かんせいていぼくりん)にまざって、台地の上に岩場があり、シラゲテンノウメやウラジロコムラサキといった木のほか、ムニンテンツキ、シマカモノハシ、マツバシバ、ムニンタイトゴメ、コヘラナレンなどの貴重(きちょう)な植物が残っているんだ。これらを岩上荒原植生と呼ぶんだよ。また、兄島にしかいないオガサワラハンミョウという固有のこん虫もいるよ。でも、兄島は、浜以外に立ち入ることができないんだ。
小笠原諸島(おがさわらしょとう)の歴史
小笠原諸島は、およそ200年前まで無人島だったんだ。19世紀はクジラをとる活動がさかんで、小笠原の海はクジラも多く人気があったんだ。だから、クジラをとりにやってくる欧米(おうべい)の人と太平洋しょ島の人たちが、島の最初の住民だったんだよ。その後、明治時代のはじめに日本の人たちが移り住み、もっとも多くて7,000人以上の人びとがくらしていたと言われているんだ。その後、太平洋戦争が起こり、島の人は本土へ疎開(そかい)しなければならなくなったんだ。そのご戦争に負けて、小笠原はアメリカ軍に占領(せんりょう)される結果に。しかし、戦後、23年がたった1968年、小笠原は日本へ返かんされたんだ。
ユネスコ世界自然遺産(せかいしぜんいさん)
小笠原諸島は、これまで一度も大陸とつながったことがないため、いきものたちは空を飛んだり、海流(かいりゅう)や風、鳥に運ばれて島にたどりついたんだ。だから、小笠原ならではの独特の自然が広がっていて、小さい島ながらも小笠原でしか見ることのできない固有種が多いんだ。特に、陸産貝類や植物などは、進化のようすが今も残されているということで、高く評価されたんだよ。2011年6月には、日本で4番目の「ユネスコ世界自然遺産」にも選ばれたんだ。
エコツーリズム
島のいたるところに、火山島ならではの特色ある地形や、多様な動植物、ここでしか見られない自然が残っている小笠原。観光客が訪れることは良いことだけど、小笠原の自然に影響を与えてしまうこともあるんだ。そこで、かけがえのない自然を将来へ残しながら、観光客がその自然と育まれた歴史や文化に親しめるように、東京都は正しい利用のルールにもとづいて「エコツーリズム」を進めているよ。エコツーリズムとは、小笠原の人たちが豊かにくらせる島づくりをめざし、自然を守りながら観光利用を図るための活動なんだ。2002年7月、自然環境(かんきょう)保全促進(そくしん)地域の第1号として、小笠原諸島の南島と母島の石門一帯を指定したんだ。
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このページの担当は自然環境部 緑環境課 自然公園計画担当です。