不法投棄撲滅のための自治体の連携

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目次

1 産廃スクラムとは


産業廃棄物の不適正処理は、広域化、悪質・巧妙化しており、近隣自治体との広域連携が不可欠です。そのため、平成12年度に、東京都の呼びかけで、関東甲信越・福島・静岡地区の1都10県10政令市21の自治体で構成する「産業廃棄物不適正処理防止広域連絡協議会」(通称:産廃スクラム21)を設立しました。
その後、16自治体が本協議会に加わり、現在、1都、11県、25の政令指定都市及び中核市の37自治体で構成されています。

(1) 目的

次の目的のために、関東甲信越及び福島、静岡エリアの都、県及び政令市が、相互の情報交換、取締り等の連携、調査等の協力体制の強化に努めています。

ア 広域にわたる産業廃棄物の不適正処理防止と良好な生活環境の確保
イ 不適正処理発生後の迅速な対応
ウ 広報啓発活動の推進

(2) 名称

「産廃スクラム」は「産業廃棄物不適正処理防止広域連絡協議会」の通称名です。

(3) 経緯

平成12年 11月21日 産廃スクラム21(発足)
平成13年 11月22日 産廃スクラム22(福島県参加)
平成14年 7月31日 産廃スクラム23(さいたま市参加)
平成15年 6月 6日 産廃スクラム27(郡山市、いわき市、川越市、船橋市参加)
平成20年 6月23日 産廃スクラム28(柏市参加)
平成21年 6月30日 産廃スクラム29(前橋市参加)
平成23年 7月8日 産廃スクラム30(高崎市参加)
平成27年 6月26日 産廃スクラム32(八王子市、越谷市参加)
平成30年 7月6日 産廃スクラム34(福島市、川口市参加)
令和元年 7月5日 産廃スクラム35(甲府市参加)
令和2年 7月13日 産廃スクラム36(水戸市参加)
令和3年 7月28日 産廃スクラム37(松本市参加)

(4) 参加自治体

次の1都、11県、25市の37自治体

福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県、千葉市、横浜市、川崎市、横須賀市、新潟市、静岡市、浜松市、宇都宮市、郡山市、いわき市、長野市、相模原市、さいたま市、川越市、船橋市、八王子市、柏市、前橋市、高崎市、越谷市、福島市、川口市、甲府市、水戸市、松本市

(5) 主な活動

ア 産業廃棄物の不法投棄等不適正処理事案の未然防止や早期解決

  • 自治体を越えて行われる不適正処理の未然防止のため、参加自治体が広域的に連携し、必要な情報共有を図っています。
  • 不法投棄事案等の合同現場調査、不適正処理ルートの解明、不法投棄等不適正処理行為者等への責任追及に連携して取り組んでいます。

イ 全体会議の開催
毎年一回、全ての自治体が参加の下、全体会議を開催しています。その中で各自治体が産業廃棄物の不適正処理等の具体的な解決事例の報告を行うなど、自治体間での情報の共有化に努めています。また、毎年度の行動計画として、
①不法投棄・不適正処理対策の強化月間を設定し、産業廃棄物の運搬車両の路上調査などを参加全自治体で実施する。
②自治体間での情報の共有化の一層の促進を図る。
③近隣自治体が合同で不法投棄現場の調査を行う。
ことなどを確認しています。

ウ 不法投棄撲滅強化月間の設置
①背景と目的
産廃スクラム構成自治体の中では、不法投棄発生後の取組だけでなく、不法投棄の未然防止に向けた各種の取組が展開されています。

平成20年度から設定している不法投棄撲滅強化月間において、これらの各県市の取組を集中的に実施することで、構成自治体の一層の連携を高めるとともに、この取組を積極的に世論に訴えていくことで、行政だけでなく、住民・企業を含む全ての主体による広域的な取組を促していきます。

② 月間中の取組
次の取組を強化して実施しています。
「しない、させない、許さない!不法投棄は犯罪です。」
不法投棄の監視活動を「陸・海・川・空」で行うことにより、不法投棄の撲滅をより広く、積極的に呼びかけていきます。

(ア)「不法投棄の芽を絶つ」取組
環境局産廃Gメンが建物解体工事に立入、現場指導等を実施。

(解体工事現場)
解体現場(聞き取り)
(処理方法等の確認)

(イ)「不法投棄の流れを絶つ」取組
一斉路上調査(全ての自治体)
特定地区内での路上調査

路上調査(聞き取り)
(搬入先等の確認)
路上調査(積み荷の確認)
(積載物(廃棄物)の確認)

令和4年度の一斉路上調査の結果(他自治体の結果を含む)

(ウ)「不法投棄の流入を絶つ」取組
〇路上パトロール
〇海上パトロール
港湾局の監視艇に産廃Gメンが同乗し、東京湾岸での不法投棄の合同調査・監視を実施

(船上からの監視)

〇河川パトロール
建設局の指揮艇に産廃Gメンが同乗し、河川での不法投棄の合同調査・監視を実施

(船内からの監視)

〇スカイパトロール
産廃Gメンがヘリコプターに乗り、上空から不法投棄等の不適正処理の監視活動を実施

(ヘリコプターからの監視)

(エ)「不法投棄を許さない」取組
横断幕を港湾局清掃船・建設局河川清掃船・水上バスに掲示し、不法投棄撲滅をPR。

清掃船(横断幕掲示)
(港湾局の清掃船)
河川清掃船(横断幕掲示)
(建設局の河川清掃船)
水上バス(横断幕掲示)
(水上バス(東京水辺ライン))

2 東京路線トラック協会との情報提供協定

平成21年3月、産廃スクラムは、産業廃棄物の不法投棄撲滅のための取組を一層強化するため、一般社団法人東京路線トラック協会との間で、「廃棄物の不法投棄の情報提供に関する協定」を締結しました。

(1)協定の内容

ア 東京路線トラック協会加盟各社のトラックドライバーが、業務中に不法投棄等を発見した場合に、産廃スクラムに加盟する自治体へ情報提供を行います。

イ 産廃スクラムの自治体へ情報提供されるのは、産業廃棄物、一般廃棄物を問わず全ての廃棄物の不法投棄等となります。情報提供を受けた自治体は、一次調査の結果、その内容が、一般廃棄物であった場合は、所管の区市町村へ連絡します。

(2)一般社団法人 東京路線トラック協会 (現、一般社団法人全国物流ネットワーク協会)

ア 経緯
 昭和28年に東京都内に発着所を置く路線トラック業(*)者の全国団体として設立。
 平成20年12月、一般社団法人東京路線トラック協会として法人格取得。
 平成24年5月、一般社団法人全国物流ネットワーク協会に名称変更。

*路線トラック業とは、荷主から集荷した荷物を、トラックターミナルなどで仕分け、定期的に運行するトラックで、全国のターミナルに輸送し、そこから荷受人に届けるもの
(「宅配便」「引越便」「幹線集約輸送」など)。

イ  会員数
 佐川急便、西濃運輸、日本通運、ヤマト運輸など約70社で構成

ウ 環境関係などへの積極的取組

  • ディーゼル車規制などの排ガス対策に加え、ハイブリッド車やCNG車など低公害かつ低燃費(低CO2)車の導入による温暖化対策、共同配送、共同パトロールなどによる渋滞対策。
  • トラックターミナルの使用済み木製パレットや梱包フィルムのリサイクル処理の推進。
  • 環境対策だけでなく、認知症高齢者対策など、幅広い社会貢献活動を展開。

(3)その他

東京路線トラック協会では、以下のステッカーを宅配便トラックに貼付していただき、不法投棄撲滅のPR事業にもご協力いただきます。

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