高圧ガス施設の耐震基準適合状況調査について

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 2011年3月11日に発生した東日本大震災では、地震の揺れや津波による甚大な被害がもたらされたことから、以前にも増して社会全体で防災意識の向上が図られつつあります。

 東京都においても、首都圏で想定される地震に対する被害想定を全面的に見直し、2012年4月に「首都直下地震等による東京の被害想定」を公表しました。この被害想定の見直しによって、最大震度7の地域が出現するとともに、震度6強の地域が都内の広範囲に分布することが明らかとなりました。

 このため、東京都では、2012年度に学識経験者・関係業界・行政からなる「高圧ガスの保安に関する検討会」で「自主保安の立場から事業者自らが設備の耐震性能を把握するとともに、東京都においても、適合が未確認である施設の正確な現状把握に努めることが必要である。」との方向性を示しました。

 これらの経緯を踏まえ、東京都は、各事業所の耐震設計基準への適合に関する現況の把握と、事業者自らが積極的に施設の耐震対策を講ずるための支援を目的として、2013年度より3ヶ年度にわたり、東京都内に所在する高圧ガス施設の耐震状況の現地調査を実施しました。

1 調査内容

 都内に設置している高圧ガス保安法の耐震設計基準の適用となる全ての施設に対して調査を行いました。なお、耐震設計基準が制定されるより前に設置され、基準が適用されていない施設も調査に含めました。

 <耐震設計基準適用施設>

  •  貯槽(貯蔵能力が300立方メートル又は3トン以上のもの)
  •  塔(反応等を行う高圧ガス設備であって塔の長さが規則で定める長さ以上のもの)
  •  冷凍設備の凝縮器及び受液器(規則で定める規模以上のもの)
  •  配管(内容積が3立方メートル以上のもの等(耐震告示第1条の2で定める配管))
  •  これらの支持構造物及び基礎

(1)書類調査

 施設設置時の届出書類による事業所・施設の概要の確認

 耐震設計計算書(または構造計算書)による施設の耐震仕様の確認

(2)現地調査

 外観目視による施設の固定状況及び劣化状況の確認

 施設の各種検査・点検(保安検査、定期自主検査、日常点検など)の頻度と実施内容の確認

 施設の管理形態、書類・点検記録の保管状況、メンテナンス工事状況などの確認

2 調査結果

 調査した施設の耐震設計基準への適合状況と維持管理の状況は以下のとおりでした。

3 事業者への周知

(1)震度と液状化危険度

 「首都直下地震等による東京の被害想定」で想定している4つの地震(東京湾北部地震、元禄型関東地震、多摩直下地震、立川断層帯地震)に対する震度と液状化危険度を事業所所在地ごとに整理し、現地調査時に各事業者に説明しました。

(2)劣化腐食

 劣化腐食のみられた施設については、維持管理(点検及び補修)の重要性について、現地調査時に各事業者に説明しました。

(3)日常点検のポイント

 本調査により、施設の経年劣化と維持管理の状況について一定の相関がみられたことから、日常点検のポイント等を取りまとめた リーフレット(5 MB)(PDF:4,918KB) を作成し、後日、各事業者に周知しました。

高圧ガス施設を設置している事業者の皆様へ

  • 日常点検のポイントをよく御覧になり、高圧ガス施設の状況を定期的に点検してください。
  • 点検の結果、腐食等の異常を発見した場合は、至急、メンテナンス工事を実施してください。工事が遅れると施設の耐震性能を維持できなくなる恐れがあります。
  • 今回、調査対象としなかった耐震設計基準の適用とならない小規模な貯槽等を設置している事業者におかれましても、震災時の被害を最小限にするため、同様の対応をお願いします。
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