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都議会第4回定例会 石原都知事所信表明

ページ番号:926-763-715

更新日:2018年2月9日

東京都議会第4回定例会
(平成14年12月3日)における発言

※自動車公害対策のみ抜粋してあります。


大気汚染対策の加速と大都市間の強固な絆

(環境問題に対する正当な時代認識)

さて私達人類は、有史以来の歴史の中で、文明の発展に針を重ねて成長を遂げてまいりました。しかし、発展、進化の過程で、限界を遥かに超えて無理や無駄を続けた結果、様々な矛盾や歪みが露呈しております。ここ東京では、世界で最も集中、集積が進んだ大都市となりましたが、多くの欲求を満たしてきた場所になると同時に、多くのものをも失ってきた場所となりました。その一つが自然環境であり、特に大気は、ここで歯止めをかけなければ、回復不可能な段階にまで汚染が進んでおります。
東京の大気汚染の元凶は自動車の排気ガスであります。一日で500ミリペットボトル12万本分が吐き出される粒子状物質をはじめ、二酸化窒素、ベンゼンなどが、東京の空気を汚しております。とりわけ深刻な問題は、ディーゼル車が及ぼす影響であります。都内の肺がん死亡者のうち、2割以上はディーゼル車からの排出粒子が原因であるとされており、都道府県の中では日本で2番目に高い比率となっております。
私達は、車社会によって便利な生活を享受する一方、その代償として日々命を削っているのであります。アメリカの作家で、20世紀を代表する科学者でもありましたレイチェル・カーソンは、半世紀前、「沈黙の春」という本の中で、環境を破壊する人間の行為は結局は我が身を滅ぼすことになると繰り返し訴えておりました。この偉大な預言者の警告は、まさに今、現実の問題として目の前に出現しております。東京は大いなる危機に瀕しております。もはや環境問題は、経済とのトレードオフではなく、生命とのトレードオフの関係にあることを私達は等しく認識すべきであると思います。

(大気汚染公害訴訟への対応)

このような中、10月29日に、大気汚染公害訴訟の第一審判決がありました。大気汚染が、原告の方々をはじめ、 多くの都民の生命と健康を蝕んでいることに対しては、行政の対応がこれまで不十分であった点を重く受け止め、心からお詫びを申し上げます。しかし、これもひとえに、国が正当な状況認識を持たないまま無為無策を続けてきたことに起因しております。そこに問題の本質があるにもかかわらず、今回の判決は、国の排出ガス規制責任を一切認めておりません。最も重大な論点に目をつぶったものと言わざるを得ず、到底承服できるものではありません。
しかし、その一方で、誰もが被害者であると同時に加害者でもある大気汚染は、裁判で対応可能な範囲を超え、社会全体の問題として捉えるべき段階を迎えております。これ以上裁判を長期化させても、大気汚染を解決することはできず、健康被害者の救済を先送りするだけであります。
今必要なことは、裁判で原告の方々と論争することではなく、国と直接対決し、国の政策を転換させることであります。したがって、判決内容を不服とする中での異例の措置とはなりますが、抜本的解決を優先させるため、控訴しないとの判断を下しました。

(今後の大気汚染対策の取組み)

今後は、大気汚染の早期解決に向け、様々な角度から対策を講じるつもりであります。
最大の課題は、国を動かすことであります。歴史認識がなく、保身と体面だけを気にする国の官僚からは根強い抵抗が想定されますが、現況を放置することは、国民の生命を守る責任を放棄することに他なりません。政治の決断が求められる局面であり、総理大臣に対しては、先般、大気汚染対策の強化を直接要請いたしました。
国は、判決後、不正軽油対策の検討をようやく開始いたしました。小さな改善ではありますが、その動きは極めて緩慢で、まだまだとても満足できるものではありません。都議会の皆様、都民の皆様とともに世論を形成しながら、今後とも、国の責任ある対応を強く求めていきたいと思います。
東京都独自の取組みも、これまで以上に加速したいと思います。来年10月から開始するディーゼル車への規制は、大気汚染の軽減に必要な最低限の措置であり、すべての事業者が遵守する必要があります。経済的に苦しい立場に置かれている小規模零細事業者には、新しい融資制度の創設や補助制度の充実を通して、車両の買換え、改良を支援いたします。
規制を円滑に行うには、粒子状物質除去フィルターDPFの装着態勢を一層充実していくことも必要であります。このため、都内1000か所の整備工場で働く整備士を対象として、来年3月までに、大田など5校の技術専門校において、DPFの装着に関する講習を無料で実施したいと考えております。

(円滑な道路交通の実現)

また、社会活動に比べて道路の絶対量が不足しているため、大気汚染がさらに悪化していることも、見逃すことのできない東京固有の問題であります。東京では、道路整備は、走行時間の短縮など直接の経済効果だけではなく、 大気汚染の軽減など外部不経済の解消にも優れた効果を発揮いたします。中でも環状方向の道路は整備が遅れており、その開通は、首都圏全域に高い波及効果をもたらします。
先に実施したアンケート調査でも、首都圏に暮らす多くの住民が外環道の開通を待ち望んでいることが明らかになりました。今月25日には、首都高速中央環状王子線が開通し、都心環状線北側の渋滞が緩和される見込みであります。着工以来16年の歳月を要しましたが、それだけの価値を持つ、東京に不可欠な路線であり、引き続き、三環状道路の全線開通を目指して整備を促進いたします。
ほかにも、渋滞の激しい交差点で違法駐車対策など渋滞対策を集中的に実施し、車の流れを円滑化することで、 大気への負担を減らしていきたいと考えております。

幹線道路の整備に代表されるような、地域を超えた広域的課題が増加する中で、国を動かし、政策を実現していくには、都市と都市との合従連衡が重要であり、東京は、内外大都市との連携を強化しております。

(国内大都市との連携)
七都県市からなる首都圏は、相互に補完しながら一体的に生活圏、経済圏を形成しており、3300万の住民が都道府県の垣根を意識することは非常に稀であると思います。現在、七都県市の間では、住民意識を追いかける形で、自治体相互の交流が強まりつつあります。住民サービスの向上のためには七都県市の連携が不可欠であり、この先も、今の流れを大切にすべきであります。首都圏のリーダーが集まる七都県市首脳会議は、お互いの認識を共有する場として、ますます重要性を高めていると思います。

(中略)

先の首脳会議では、ディーゼル車対策、都市再生などについて、進展を見ることができました。ディーゼル車対策としては、国における健康被害者救済制度の創設を緊急提言したほか、推進本部を設置し、来年10月の 条例の施行に向け連携体制を強化いたしました。首都圏の再生についても、協力して取り組むことを改めて確認するなど、有意義な会議であったと思います。
今後は、さいたま市を含めた首都圏八都県市での枠組みが、広域行政の基本となります。しかし、状況に応じてきめ細かく対応していくためには、新しいパターンによる連携にも積極的に乗り出す必要があり、神奈川、大阪などと共同で行動を起こしております。さらに今後は、より大きな形での連携を考えながら、国家の再生に貢献していきたいと思います。

石原知事の所信表明(全文)は、東京都庁のウェブサイトでご覧いただけます。
外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。「知事の部屋?石原知事発言集」(外部サイト)

第3回定例会(9月18日)での発言

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