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東京都のディーゼル車対策(国の7つの怠慢)

ページ番号:216-389-300

更新日:2018年2月9日

表紙へ 都の6つの成果 «参考図»

ディーゼル車対策における国の7つの怠慢

1 欧米に大幅に遅れた新車の(粒子状物質)規制

1 ディーゼル車が排出するPMは、80年代に呼吸器への影響や発ガン性などが指摘されたため、アメリカでは1988年からPM規制が開始され、その後段階的に強化されてきました。EUも1992年からPM規制を開始しました。

2 日本では、ようやく1994年にPM規制が開始されましたが、その規制値は、欧米より5倍以上も甘いものでした。( «参考図1» 参照)
欧米の90年代初頭の規制水準に追いついたのは1998年であり、日本のPM規制は、実質的に欧米から10年近く遅れました。

3 今日、東京の大気汚染が深刻なのは、このような国の規制の怠慢に、その原因があるのです。

ディーゼル車から排出されたPMの

入ったペットボトルを示す都知事

2 PM提言に不可欠な「低硫黄軽油」の早期供給への怠慢

1 PMを除去する排出ガス浄化装置を有効に機能させるためには、低硫黄軽油(硫黄分50ppm以下)が不可欠です。
EUが、低硫黄軽油の導入スケジュールを明示した1998年12月、日本の中央環境審議会答申では、低硫黄軽油導入の目標年次すら決められませんでした。 ( «参考図2» 参照)

2 EU各国では、低硫黄軽油に対する減税措置などにより、早期供給を促してきましたが、わが国政府は、こうした支援措置も採っていません。

導入決定時期


濃度
地域
50ppm10ppm
日本03年8月
(00年11月)
未定
(03年7月)
米国(加州)01年1月
(15ppm)
EU98年12月03年3月

(注)日本の()内は答申時期である。

3 大気汚染の元凶である「使用過程車対策」に背を向ける

1 従来の不十分な排出ガス規制によって製造されたディーゼル車は、今現在もPMやNOxを大量に排出しながら多数走行しており、東京の大気汚染を改善するためには、これら使用過程車への対策が急務です。

2 ところが、国は、使用過程車のPM減少対策として有効な「 DPF(注1) の開発」に後ろ向きでした。

3 また、使用過程車の車検では、簡単な黒煙の検査があるだけで、PMやNOxの排出量検査すらしていません。


ディーゼル車に装着されたPM減少装置

4 やっと改正したNOx・PM法を適用延期し、旧式ディーゼル車を放置

1 国は2001年に、ようやく法律を改正して、使用過程車が排出するNOxに加え、新たにPMを規制の対象とし、法の定める排出基準を満たさない車の保有を認めないこととしました。

2 しかし、国は、このNOx・PM法の施行期日を突然、半年間延長するとともに、本来2003年で使用禁止になる予定だった旧型車にまで猶予措置を設けるなど、都の再三の反対を無視して、当初案より最大2年半も規制開始を遅らせてしまいました。

3 この結果、三大都市圏で、PM規制のない旧式ディーゼル貨物車が約100万台も走り回ることを許してしまい、都のディーゼル車走行規制の対象台数も、9.4万台から20.2万台に倍増してしまいました。

国の規制延期の実態


5 軽油優遇税制が、ディーゼル車を増やす

1 東京の大気汚染が改善されないのは、ディーゼル車の増加も大きな原因となっています。
都内の貨物車に占めるディーゼル車の割合は、1975年までは20%以下でしたが、1990年以降約60%に増加しています。

2 ガソリン車などに代替が可能な小型・中型貨物車に関して、ディーゼル車が好まれる実質的な理由は、国の軽油優遇税制により作られてきた「燃料価格差」にあります。

3 実際に、燃料価格差の拡大に伴って、ディーゼル車が増加してきた経緯を踏まえ、都は、「軽油優遇税制の是正」を求めてきましたが、国は具体的検討すらしていません。

軽油とガソリンの税金差

6 悪質な脱税の温床であり、都民の健康を脅かす「不正軽油」を放置

1 重油に灯油等を混ぜて軽油と偽って使用される「不正軽油」は、脱税の温床となるだけでなく、PMやNOxを多く排出するうえに、その製造過程で発生する硫酸ピッチは健康や環境を脅かすなど、多くの問題があります。

2 都は不正軽油の摘発を積極的に進めていますが、これまで国は適切な対策をとらず、不正軽油を放置してきました。

3 国は、法律に不正軽油の製造禁止規定を設けるなど、抜本的対策をとるべきです。

不正軽油使用時のPMとNOXの増加率

7 大気汚染被害者の早急な救済に背を向け、東京裁判を控訴

1 東京大気汚染公害訴訟第一審判決では、原告側の健康被害と損害賠償を一部認めたものの、国の排出ガス規制責任には触れませんでした。

2 都は健康被害者の救済が優先されるべきと考え、控訴しない決断をしましたが、国が大気汚染を放置した責任を自ら認めるべきにもかかわらず、控訴したのは、全く不当な対応です

ラットの肺の写真
青森県立保健大学
嵯峨井勝教授提供

(左)正常な空気を吸わせたラットの肺

(右)ディーゼル排気微粒子(1mg/m3)を長期曝露させたラットの肺

(注1)DPF・・・ディーゼル車の排気管等に装着して、大気中に放出されるPMを減少させる装置の一つ。他に「酸化触媒」がある。

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