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ロードプライシングを実施した場合の物価への影響

ページ番号:730-016-586

更新日:2018年2月9日

表1 物価指数及び価格上昇の大きい主な産業(2003〜2004年頃) 【 】内は物価指数
物価指数及び価格上昇の大きい主な産業(2003〜2004年頃)

表2 物価指数及び価格上昇の大きい主な産業(2010年) 【 】内は物価指数
物価指数及び価格上昇の大きい主な産業(2010年)

表3 課金対象別価格上昇率(2003〜2004年頃)
課金対象別価格上昇率(2003〜2004年頃)

表4 課金対象別価格上昇率(2010年)
課金対象別価格上昇率(2010年)

【説明】

1)試算の概要

ロードプライシングの導入に伴って、運輸コストが変動した場合の物価に対する影響を産業連関表を用いて試算し、産業別物価上昇率及び家計の消費量ウェイトを考慮した総合的な物価指数をそれぞれ求めた。

ロードプライシングによる価格転嫁

※ 2003〜2004年頃及び2010年のシミュレーションのいずれも、課金対象部門が他の経済主体へ全額転嫁した場合を想定した。実際には、導入に伴って全ての産業が全額転嫁することはないと思われること、ロードプライシング導入により便益が発生し、課金の負担を相殺することから、価格上昇が抑制されると思われるが、これらについては積算していない。このため、本試算は都民へ及ぼす影響を最大限に捉えたものであり、実際より価格の上昇を過大に評価している。なお、価格上昇率は都内全域を対象として分析した。

2)価格分析の結果

ア 物価指数

物価指数(課金前の物価を1として都内の物価への影響を総合的に表した数値。家計における消費量を加味している。)を区域ごとにみると表1、表2の【】内のとおりである。2003〜2004年頃では1.000261〜1.000432、2010年では1.000254〜1.000565と、物価の上昇はおおよそ0.04%程度であり、家計への影響は極めて小さい。

イ 価格上昇の大きい産業

価格上昇の大きい主な産業を各区域ごとにみると表1、表2のとおりである。
各区域とも、直接に課金を負担する運輸部門の上昇率が大きいほか鉱業、窯業・土石製品への影響が比較的大きい。これらの産業は、自動車輸送に依存する割合が大きいためである。また、卸売への影響が大きいのは、各産業に横断的に関連し、あらゆる角度から価格波及の影響を受けるからである。比較的自家用貨物輸送への課金割合が高い山手線・隅田川区域、環状6号・隅田川区域、環状7号・荒川区域では、廃棄物処理への影響が大きい。ただし、課金対象部門以外の部門での上昇率は小さく、鉱業がやや高めのほかは0.2%以下であり、最も影響を受ける鉱業は都内における消費が非常に少ないため、消費者への影響はほとんどないといえる。

ほとんどの産業は区域が広いほど上昇率が高くなるが、ハイヤー・タクシーでは山手線・隅田川区域が最も上昇率が高い。その理由は、地域が広いと地域内でトリップが完結することなどによる。

2003〜2004年頃と2010年を比較すると、山手線・隅田川区域において影響を受ける産業がわずかに異なる程度であり、ほぼ同じ傾向を示している。山手線・隅田川区域で差が出ているのは、課金の状況がハイヤー・タクシーと自家用旅客輸送など旅客関連輸送は2010年の方が大きく、道路貨物輸送と自家用貨物輸送など物流関連輸送は2003〜2004年頃の方が大きい結果、2010年では卸売への影響、2003〜2004年頃では廃棄物処理への影響が強く出ている。

ウ 課金対象別にみた各産業への影響(課金対象別価格上昇率)

ハイヤー・タクシー、道路貨物輸送など課金を負担する部門別に各産業への影響をみると、表3、表4のとおりとなる。
2003〜2004年頃と2010年では、ほぼ同じ傾向を示している。

課金対象別に各区域の影響を比較すると、影響を受ける産業の順位は各区域とも同一である。これは、ある商品を生産する際に必要となる原材料の比率が変わらないので、各産業への影響度は変わらないためである。

表3によると、ハイヤー・タクシーへの課金が他の産業にもたらす価格上昇は、公務、卸売、廃棄物処理への影響が大きく、最も課金額の多い山手線・隅田川区域では公務に0.011%、卸売に0.006%、廃棄物処理に0.005%の影響があり、最も上昇率の小さい環状7号・荒川区域ケースでは公務に0.006%、卸売に0.003%、鉱業に0.002%の影響がある。

道路貨物輸送への課金が他の産業にもたらす価格上昇は、鉱業、その他の製造工業製品、窯業・土石製品への影響が大きく、最も上昇率の大きい環状7号・荒川区域では、鉱業に0.078%、その他の製造工業製品と窯業・土石製品ともに0.029%の影響があり、最も課金額の少ない環状2号・隅田川区域では、鉱業に0.020%、その他の製造工業と窯業・土石製品ともに0.007%の影響がある。ハイヤー・タクシーに比較して、旅客よりも物流に影響が出ていることがわかる。なお、ハイヤー・タクシーで廃棄物処理への影響が大きく出たのは、ハイヤー・タクシーが各産業に横断的に関わるため価格波及の過程を通じて価格が上昇したものと思われる。

各産業が業務上で自動車を使用した場合の生産活動である自家輸送部門への課金が他の産業にもたらす価格上昇は、旅客輸送が卸売、小売、公務に、貨物輸送が鉱業、窯業・土石製品、廃棄物処理に影響している。

自家用旅客輸送では、最も上昇率の大きい環状7号・荒川区域で、卸売に0.057%、小売に0.056%、公務に0.053%の影響があり、最も上昇率が小さい環状2号・隅田川区域では、卸売に0.028%、小売に0.027%、公務に0.026%の影響がある。

自家用貨物輸送では、最も上昇率の大きい環状7号・荒川区域ケースで、鉱業に0.649%、窯業・土石製品に0.102%、廃棄物処理に0.093%の影響があり、最も上昇率が小さい環状2号・隅田川区域ケースで、鉱業に0.256%、窯業・土石製品に0.040%、廃棄物処理に0.037%の影響がある。

総じて、ハイヤー・タクシーの価格上昇による他の産業への影響は、他の課金対象に比較して非常に小さく、ほとんど影響がないといえる。また、公務はタクシー、自家用旅客輸送の利用が多いため、比較的上昇率が大きいが、公務(手数料等)の価格は、議会決定を要するなど決定の過程が異なるため、理論上の上昇がただちに実態に反映するものではない。

(東京都職員研修所調査研究室調べ)

―参考―
(各産業の定義)

  •  道路貨物輸送−道路貨物運送業の生産活動で、トラック運送業(路線、区域、特定)、貨物軽車両等運送業の貨物輸送。事業用自動車を使用して行われる。
  •  自家用貨物輸送−企業が生産活動を行う上で、自社内で行った貨物の輸送活動。自家用自動車を使用して行われる。
  •  自家用旅客輸送−企業が生産活動を行う上で、自社内で行った人の輸送活動。自家用自動車を使用して行われる。
  •  鉱業−鉄鉱石、非鉄金属、石灰石鉱業等
  •  窯業・土石製品−板ガラス、セメント、生コンクリート、陶磁器等製造業
  •  卸売業−繊維・機械器具・建築材・化学製品・自動車等卸売業のうちコスト分
  •  廃棄物処理−し尿・ゴミ収集処理業、産業廃棄物処理業
  •  小売業−百貨店、衣服・飲食料品・自動車・家具・家庭用機械器具等小売業のうちコスト分
  •  公務−中央政府、地方公共団体の公務サービス活動

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